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2024年11月24日
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笑顔のわけ

2011年01月30日

++笑顔のわけ++

新しい作品です。
新巻に悶えたのでとりあえず妄想。
心配される昌浩最高!
てなわけで、今回は兄上のお話です。
兄弟いいです!末っ子に甘い兄上ズいいです!
そして成親は父としても兄としても男前です。

余談ですが、幸芽的に甥姪は昌浩大好きだといいです。
小姫は将来、おじうえと結婚したいとか言えばいいです。

+  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +



それは、安倍成親が初めて娘を授かった頃のことだ。

「うわ~っ」

まだ4つと3つの息子2人は、小さな小さな妹の傍で大はしゃぎだった。
弟の忠基にとっては初めての嬰児であるし、兄国成とて、弟が誕生した時は
1つになったばかり。記憶などあるまい。

「ちちうえ、ちちうえ!とてもかわいいですね!」
「ちちうえ、とてもちいさいの」

成親に纏わりつく息子たちは、可愛い妹姫に夢中のようだった。
丸く柔らかい頬を恐る恐る突く様などは、見ていて心温まるものだ。
何もしていなくても、戯れる子どもらを見れば頬が緩む。
そうして、無意識に微笑む己に気付いて、あぁそういうことかと成親は思った。
昔のことを、思い出したのだ。








「あう・・あー・・・きゃ・・・」

もぞもぞと、嬰児が両手を動かす。
日当たりの良い場所に寝かされた子どもは、滅多にぐずることもない。
今だって、上機嫌で、傍らの人間たちを不思議そうに見つめていた。

「兄上、今昌浩が笑いました!」
「よしよし、既に兄たちが大好きだと言っているんだろう」

10を過ぎた弟・昌親は、幼い子どものように目を輝かせている。
昌親にとっては初めての弟だ、無理も無い。
成親とて、昌親が生まれた時は小さかったから、
嬰児がこうも愛らしいものだとは知らなかったのだが。

末弟の昌浩が生まれて以来、成親も昌親も、暇さえあれば弟の傍へ来る。
嬰児というのは不思議なもので、どれだけ眺めていても飽きるということがない。

「小さな手だなぁ・・・」

成親が、嬰児の柔らかな手をぷにぷにと突く。
その兄の指を、嬰児の手がきゅっと握った。
温かな感触に成親が瞬く横で、昌親が声を上げた。

「あー、いいなぁ兄上」

我もと反対の手を昌親が握る。
相手を認識しているのかは不明だが、2人の指を握り締めて嬰児は大層嬉しそうだった。

そんな子どもたちの様子を、その日は朱雀と天一が見守っていた。
寄り添って座る2人は、何やら楽しそうに笑っている。
この2人に限らず、他の神将たちもいつも笑いながら3人を見守っているものだ。

以前、何故そんなに楽しそうに笑うのかと、太裳に尋ねたことがある。
太裳は微笑んで、いずれわかりますと答えてくれた。
その時は、何故笑われるのかわからなかったものだが・・・








「ちちうえっ」

息子に呼ばれ、成親は我に返った。
息子2人が成親の袖を引いている。

「どうした?」
「いまね、ひめがこちらをみてわらったのですっ」
「わらったのです!」

キラキラと目を輝かせる子どもの頭を、成親はわしわしと撫でた。
あの時にはわからなかった神将たちの気持ちが、今ならわかる。
どうしたって緩んでしまう、頬の理由。

そういえば、明日は弟2人が姪に会いたいとやってくるのだった。
久方ぶりに兄弟で昔話をするのも良いかもしれない。
成親にとっては、子どもたちも弟も、自然を頬を緩めてしまう相手に違いはないのだから。


 

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