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2024年11月24日
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守り役
2011年04月23日
++守り役++
新しい作品です。
2人は永遠にいちゃこらしてればいいよ。
+ + + + + + + + + + +
悪いものが、傍にいる。
邸の主の不在を知ってだろうか。
いつもなら大人しく姿を隠すそれらが、これ見よがしに邸の周りをうろつく。
手を出してくるわけではない。
そんなことをすれば、邸の陰陽師が黙ってはいない。
何より、留守を守る神将たちが、許しはしないだろう。
ただ、静かに。
ゆっくりと邸の傍を蠢く影。
母が寝かしつけたはずの幼子が、むずがる。
寝入りの良い子にしては珍しいことだ。
邸の誰よりも、力を持った子どもだ。
悪しきものの気配も、感じ取っているに違いない。
邸の外で、風が荒れる。
白虎あたりが、鬱陶しい連中を追い払ったのかもしれない。
それでもすぐに湧いてくる。
全くキリがない。
「大丈夫よ、昌浩」
あやす母の声が、弱りきっている。
徒人である母には、子どもが不安がる理由がわからないのだ。
母親の前に姿を見せるわけにも行かず、隠行したまま小さく息を吐く。
晴明がいないからと、調子に乗るなよ。
静かな怒りを纏った神気の波が、ざわざわと広がる。
苛烈な神気に、邸の周りから悪しき気が一掃された。
「何かしら・・・」
強すぎる神気に、さすがの母も背筋を震わせた。
その神将の力は強すぎて、誰もが恐れ忌み嫌う。
長居は無用と身を翻す神将の耳に、母の声が届いた。
「あら・・・何時の間に・・・」
あれほどむずがっていた子が、すやすやと眠りについている。
神将は、肩越しにその寝顔を見た。
何とも安心し切った、穏やかな寝顔だ。
お前ぐらいだろうな。
神将は胸の奥で呟いた。
この苛烈な神気に守られて、安心しきって眠る人間なんて。
だからこそ、願ってしまうのだろう。
その穏やかな眠りを、守ってやりたいと。
他の誰に怯えられても、だ。
「うー・・・何か寒気する・・・」
床についた昌浩は、そう言ってぶるりと身を震わせた。
まだまだ半人前の少年は知らないことだが、邸には良くない気が漂っている。
晴明が、とある貴族からの依頼で、呪詛を防いできたのだ。
晴明は身に付いた邪気を払っていたし、室から邪気が漏れぬよう結界も貼っている。
露樹も吉昌も何の不調も訴えていない。
気に聡い昌浩だけが、無意識でも感じ取っているのだ。
「風邪でも引いたんじゃなかろうな」
そ知らぬ振りで、物の怪は少年の頬を尾で軽く叩いた。
釈然としない様子の昌浩は、恐らくこのままだと寝つきが悪くなるだろう。
それは育ち盛りの子どもの健康上、大変よろしくない。
「仕方ない」
物の怪は、瞬き一つで本性に立ち戻った。
「え?紅蓮?」
どうしたの急に、と。
昌浩が目を丸くしている。
それを黙殺して、少年を寝床に戻した。
「少しの間だけだ。さっさと寝ろ」
抑えようのない苛烈な神気が、微かに漂う邪気を払う。
温かいとはお世辞にも言えない激しい神気に包まれて、
それでも少年はホッと息を吐いた。
「あ、何か・・・大丈夫そう・・・」
とろんと、昌浩の目が眠気を帯びる。
寝入りが良いのは、幼い頃から変わらない。
「邪気払いぐらい、できるようになれよ」
あっという間に寝息を立てる少年の額を、軽く叩く。
早く立派な陰陽師になれと思う気持ち半分。
もう少し手のかかる子どもでいてほしい気持ち半分。
晴明がいたら、まるで父親のようなことを言うと、笑ったことだろう。
「んー・・・」
気持ち良さそうに寝返りを打つ姿を見、苦笑する。
今宵はもう少し、このままでいようか、と。
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そして紅蓮さんに絶対的な安堵やら信頼を置く昌浩が可愛いです(≧∇≦)
そんな親子な2人にきゅん(*^o^*)
紅蓮は絶対親馬鹿ですよね(笑
間違いなくうちの子一番って思ってます。
親馬鹿子馬鹿な2人最高ですよねw