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2024年11月24日
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こわいものなんてない
2010年12月19日
++こわいものなんてない++
新しいお話。
冬だし、ちびとでかいのがくっ付いてればいいなと。
ただそれだけの話です。あは
+ + + + + + + + + + +
―――・・・・
聞こえるはずの無い声が聞こえた気がして、
騰蛇は異界で顔を上げた。
「どうした?」
傍には珍しいことに同胞がいて、
唯一と言っていいほど、騰蛇と接することのできる同胞。
彼女が首を傾けると、真っ直ぐな黒髪がサラリと流れる。
「・・・あちらへ行く」
「晴明か?」
問いを黙殺して、騰蛇はあちらへの道を開いた。
あちらは、陽の傾き始めた夕暮れ時だった。
この時刻、父親・兄弟は出仕しており、母は夕餉の支度に忙しい。
気配を探れば、主の気配も遠くあるので、珍しく不在にしているらしかった。
安倍家の末息子は、忙しい母を慮ってか、大人しく1人遊びをしている。
木片を積んで遊んでいるのだろうか。
手元を俯いた小さな背中が夕日を浴びて、ひどく胸が痛む。
小さな子どもは、ふいに異界の風を感じたのか。
それとも隠しても漏れ出る苛烈な神気を感じたのか。
俯いていた顔を上げて、大きな目で騰蛇を見つけた。
「・・・・れん・・・?」
ぱちぱちと瞬く子どもの手から、木片が落ちる。
まだ危なっかしさが残る足取りで、幼子が傍に寄ってきた。
「じいま、いなーよ?」
「晴明に呼ばれたわけではない」
幼い子どもに式神だの何だのがわかっているとは思えないが、
晴明が呼べば騰蛇が馳せ参じるぐらいのことは、理解しているのだろう。
祖父がいないというのに、騰蛇が現れたことを不思議に思うぐらいには。
「昌浩が、呼んだだろう?」
幼子の大きな瞳が、丸く見開かれた。
「まさ、よんだ?」
「聞こえた」
声として、聞こえたわけではないけれど。
呼ばれたと、感じた。
幼い、ひたむきな心に。
「・・・れん・・・」
くしゃっと、幼子の顔が歪んだ。
ふえっと、泣き出した子どもが、小さな両手を伸ばす。
騰蛇は、その身体を掬い上げて、あやすように背を撫でた。
小さな両手は、精一杯の力で騰蛇に縋る。
その懸命さが愛しくて、切なかった。
すすり泣く子どもを抱く腕に、迷いはないし、
目の前でこの子が泣き出しても、自分を恐れてではないかと怯えることもない。
長くはない時ではあるが、傍でこの子どもを見ていたから。
幼子の心も、少しはわかるようになったつもりだ。
「1人で、寂しかったな」
抱く身体は熱を持ち、溢れる涙が胸元を濡らす。
まだこんなにも小さいのに、周りを気遣って、寂しいとは決して言わない子ども。
行かないで。傍にいて。
我侭でいい、言えばいいのに。
「れん・・・こあい・・・」
1人は怖いと言った小さな子ども。
大切なその身体を抱きしめて、言う。
「怖くない。俺が、傍にいる」
寂しくないように、怖くないように、
傍にいるのだから。
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小さい昌浩に紅蓮が癒されてれば文句なしですよね♪
いつも楽しく読ませて頂いてますv
これからも更新期待してます!
コメントありがとうございますw
もうほんと、ちびっこい昌の傍にでかいのいると萌え~ってなります(笑
これからもそんな2人ばかりかと思いますが、どうぞ見守ってやってください^^