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2024年11月24日
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その名

2010年12月04日

++その名++

過去の作品です。
紅蓮とチビ昌はひたすらいちゃいちゃしてればいい。
にしても、過去の作品見返すと恥ずかしくて泣ける(T▽T)

+  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +



「れーん・・・・」

大きな瞳を瞬かせて、その子どもはまた突拍子もないことを聞いてきた。




紅蓮は、子どもの目線に合うように、片膝を折った。
そうして覗き込むように子どもの瞳を見つめる。
誰もが恐れる自分の瞳を見て、子どもは嬉しそうに微笑んだ。

「どうした」
「あのね」

昌浩がちょこんと首を傾げる。

「れんは、ましゃってなまえ、しゅき?」
「・・・・は?」

思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

昌浩の脳内は、時に本人にしかわからぬところで動いているらしく、紅蓮には訳がわからない。
赤子とはそういうものだと主は笑っていたが。

「あのね、ましゃはねー、ましゃってなまえ、しゅきなの!」
「うん?」

昌浩は嬉しそうに笑う。

「じーまもね、しゅきって」

どうやらあちこちで聞いて回っているらしい。
そういえば少し前までは、昌浩は昌浩っていうんだよーっと騒いでいたな。
自分の名前を自分で言えるようになって嬉しいのだろうか。

「ね、れんはしゅき?」

紅蓮は丸いほっぺにつられるように、ふっと頬を緩めた。

「・・・あぁ」

嫌いなわけがあるか。

「昌浩。・・・いい名だな」

くしゃっと頭を撫でてやると、子どもはくすぐったそうに笑った。

「あのね、ましゃね」

笑顔のままで昌浩が言う。

「れんがね、ましゃってゆってくれると、もっとしゅき!」

昌浩は紅蓮の腕にぎゅっとしがみ付いた。

「れんがゆってくれると、もっとうれしいよ!」

紅蓮は思わず言葉を失ってしまった。
口元を覆って、そうして苦笑する。
全く、とんでもない殺し文句を言ってくれる。

「・・・そうか」
「うん!」

はしゃいで抱きついてくる子どもを、紅蓮は優しい瞳で見下ろした。
すると昌浩がふいに紅蓮を見上げ、にこっと笑う。

「ね、れん」
「何だ?」

昌浩の大きな瞳がきらきらと輝いた。

「あのね、れんは、なまえ、しゅきー?」

紅蓮はひょいと子どもを抱き上げて、笑った。

「・・・当たり前だろう?」

恐れ、忌み嫌われる存在である騰蛇。
その騰蛇に、至宝の名を与えてくれたのは、一人の人間の青年だった。
そして今、腕の中で太陽のように笑う子どもはその名を呼ぶ。

お前たちが、お前が、その名を呼ぶから。


「好きさ。昌浩が呼ぶと、もっと・・・・」

こつんと額をぶつけると、昌浩は声をあげて笑った。

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