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2024年11月24日
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現パロ(比古+昌)③

2010年10月30日
++現パロ++

新しい作品です。
現パロだから、ハロウィンもありだよね!!
てことで急いで書いてみました。
別になんてことはない日常ですので悪しからず。
いやはや、しかしチビ昌になら、悪戯されたい今日この頃。

+  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +

「とらっく、おー、とりいと!」

は?
騰蛇は思わず怪訝な顔をしてしまった。
何を言われたのか、さっぱりわからない。
反応の無い様子が不満らしく、騰蛇の膝によじ登った子どもが、再び声を上げる。

「とらっく、おー、とり!」

さらに意味がわからなくなった。
トラック、オー、鳥?

一気に寒さの増した今日この頃。
騰蛇がお守りを一任されている4歳の子どもは、少し大きめのパーカーから小さな手を突き出した。
えいっと、真綿のようなパンチを食らい、騰蛇は目を丸くする。

「こら」

ぎゅっと握り締めた拳はあまりに小さくて、騰蛇の手ですっぽり覆えてしまう。
その小ささに思わず和む心をぐっと堪え、努めて怖い顔を作って見せた。

「人を殴っては駄目だろう」

子守を任された身として、躾は大事だ。
子どもの祖父や父、兄弟たちよりも、騰蛇は子どもを叱ることが多かった。
騰蛇は人ではない。
こうして、2人でいる時は姿を現すし、人前では人の姿を取ることもできる。
だが、決して人と同じにはなれない。
でもだからこそ、片時も子どもから離れずにいることはできる。
少しもじっとしていない子どものやんちゃを目にする機会が多いのも、そのためだ。
自然、躾の大半は騰蛇の手に担われていると言っても過言ではない。

「昌浩?」

ぷくっと膨れた頬を怖い顔のまま突けば、子どもはしゅんっと項垂れた。

「ごめんなさい」

やんちゃで手に負えないところもあれど、昌浩はとても素直な子だ。
目に見えて沈んだ様子に、殊更子どもに甘い騰蛇は怒り続けることなどできなかった。

「どうして叩いたりしたんだ?」
「・・・あのねぇ、いたずらしたの」
「悪戯?」

子どもは、よいしょと騰蛇の胸に寄りかかった。
逞しい胸に背を預け、得意気に話し始める。

「きょうはねぇ、はろいんなんだよー」
「・・・あぁ、」

ようやく、騰蛇は理解した。
イベントごとに疎い騰蛇だが、言われてみれば今日はハロウィン。
それであの妙な言葉か。

「トリック、オア、トリートだな」
「とらっく、おー、とり!」
「・・・まぁ、いい」

騰蛇は苦笑して子どもの頭を撫でた。

「ひこがね、そうゆったら、おやつもらえる日だっておしえてくれたんだよ?」

比古とは、ご近所に住む1つ年上の少年だ。
子どもの少ないこの街に来て、騰蛇にべったりだった子どもだが、
比古に出会ってから本来の人懐こさを発揮して、仲良く2人で遊ぶようになった。
微笑ましいといえば微笑ましいが、寂しさが全くないかと言われれば微妙なところだ。

「ねーえ、ぐれーん」

子どもがおねだりモードに突入した。
どこでそんな技を身につけるのか問いたいところだが、
今のところ、余程のことがない限り、断りきれない騰蛇なのである。

「おやつ、だめ?」

じーっと大きな目で見つめられ、やっぱり今回も騰蛇は折れた。
何だかんだで子どもに甘いのである。

「ちゃんと歯磨きするならな」

ぽんっと小振りな頭を撫でてやると、元気な返事が返ってきた。

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